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宮城県
復興取材レポート

NOW IS.防災 フロントライン Vol.9

どの場所が何m浸水するか。最先端の予測システム。

■check! 01/地震の情報をキャッチし、津波の浸水深や被害を予測。

赤くマークされている部分が、予測が可能になった領域。

東日本大震災で津波が発生した後、被災地救援などの様々な対応で必要とされたのは、「どの場所にどれくらいの津波が浸水して被害が生じているのか」という情報です。

被災の全容が分かるまでに長い時間を要し、的確な災害対応が困難でした。
そんな状況を打開するシステムが生まれています。

それが「リアルタイム津波浸水被害予測システム」です。

現在、地震が起きた後にテレビやラジオで流れる「津波予報」は、地形や震源の位置などをあらかじめ想定して得られた津波高予測値のデータベースに基づく予報であり、津波の浸水(内陸のどこまで津波が浸水するか)を予測するものではありません。

一方このシステムでは、震源地での断層の動きなど、その時発生した地震の情報を自動で取得して、津波の浸水深や被害を予測することができます。

■check! 02/南海トラフ地震を想定し実用化。30分以内に被害予測。

リアルタイム津波浸水被害予測システムを活用した避難訓練の様子。

このシステムによって、「どの場所が、どれくらいの津波により浸水するか」という精度の高い情報を短時間で得られるようになりました。

「10分以内に情報収集と津波の発生予測を完了させ、10分以内に浸水・被害予測を行い、その情報を10m 毎の単位で地図に落として発信する、という目標を達成しました。これまで数日かかった津波被害の把握を、地震発生から30分以内に行えるようになりました」と話すのは、開発者のひとり、越村俊一教授です。

迅速に被害状況が把握できれば、どこにどれくらい救援部隊を派遣すればいいか、迅速な検討と対応が可能になります。情報が少ないために救助の手が届かない、という状況を改善することができるのです。システムはすでに実用化されています。

「2017年11月からは内閣府の津波浸水被害推計システムに採用され、運用が開始されました。南海トラフ地震を想定し、365日いつでも対応できる運用を行っています」。

今後は、内閣府だけでなく、航空会社やインフラ企業などにもシステムを活用してもらえるよう働きかけていきたいと越村教授。

「人の命を迅速に救うという、価値のあるシステムです。今後は南海トラフだけでなく、日本全国・世界と、適用エリアを増やすとともに、予測の信頼性や迅速性をさらに高めていきたいと思います」。

PROFILE
越村俊一(こしむら しゅんいち)教授

東北大学災害科学国際研究所災害リスク研究部門教授、東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了。東京大学地震研究所やアメリカ海洋大気局、財団法人阪神淡路大震災記念協会「人と防災未来センター」などで津波の研究に従事。2012 年に現職。2018年株式会社RTi-cast を設立、CTOとして技術開発の総括と普及に取り組む。