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宮城県
復興取材レポート

NOW IS.防災 フロントライン Vol.8

災害が起きるたびに強くなる。駆け付ける医療チーム「DMAT(ディーマット)」。

■check! 01/阪神淡路大震災の経験が活かせなかった3.11の被災地。

11月に新潟で行われた、東北ブロックDMAT参集訓練の様子。東北7県のDMATと関係機関が連携し、被災地における実践的な訓練が行われました。

DMATは、Disaster Medical Assistance Teamの略で、災害派遣医療チームのこと。医師、看護師、救急救命士、事務員などで構成され、災害急性期の医療を担います。

日本でDMATが組織されたのは、1995年の阪神淡路大震災の後のこと。「倒壊した住宅の下敷きになったり、外傷の手当てが遅れたりしたために死亡した『防ぎえた災害死』の犠牲者が500人以上いたと言われています。当初DMATは『災害外傷への医療』を主なターゲットにしていました」と話すのは東北大災害研の佐々木宏之准教授。

そんなDMATの在り方が見直された一つ目のきっかけが東日本大震災でした。「死因のほとんどは溺死で、命に関わる外傷を負った人は少なかった。その代わり、高血圧や糖尿病などの慢性疾患や、避難所の公衆衛生へのニーズが大きかったんです」。

■check! 02/慢性疾患、災害医療コーディネート、ロジスティクス。浮かび上がる課題を訓練に活かす。

10月に発生した台風19号に伴う被害において、宮城県庁内に設置された DMAT 調整本部での対策会議の様子。

「災害外傷への医療」対応訓練を中心に受けていたDMATは、東日本大震災の被災地のニーズを満たすことができません。規定通り3日の活動が終わった時点でDMATは撤退せざるをえず、次の医療支援の手が入るまでに空白期間が生まれてしまいました。

「その反省から、今は慢性疾患に対する対応教育も行われるようになりました。災害が発生した際に、適切に医療体制を構築する災害医療コーディネートも重視されるようになり、被災地に入るさまざまな医療チームや地元の保健機関との連携体制も構築されています」。

2016年の熊本地震では、東日本大震災の経験が活かされました。一方で課題も浮き彫りに。「災害によってロジスティクスが長期間機能不全になると、病院の機能維持が難しくなります。今度はロジスティクスが課題になりました」。DMATにロジスティクスを専門に扱うチームができ、その経験は今年の台風被害で活かされたと言います。

「DMATは、災害が発生するたびにアップデートされ、さまざまな種類の災害に対応できるようになっています。海外からの視察も増えています。チームの経験をシェアし、すぐに訓練に活かす。迅速な対応が、災害医療のレベルを高めているんです」。

PROFILE
佐々木宏之准教授

東北大学災害科学国際研究所 災害医療国際協力学分野准教授
東北大学病院総合外科 宮城県災害医療コーディネーター