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宮城県
復興取材レポート

NOW IS.防災 フロントライン Vol.3

求められるのは、人間中心住宅復興

■check! 01/ハリケーンカトリーナをきっかけに学ぶ「復興」

ハリケーンカトリーナの後、仮設住宅の質がよかったため、恒久住宅として使用することになった住宅。日本の仮設住宅とは違った珍しい事例。


東北大学災害科学国際研究所の国際研究推進オフィス所属の准教授、マリ・エリザベスさんの専門は建築です。「住宅復興について研究しています。国際的災害復興、住宅復興、コミュニティの復興計画が専門です。この研究を始めたきっかけは、ハリケーンカトリーナでした」。

2005年に発生したハリケーンカトリーナは、フロリダ州など3つの州で大きな被害をもたらし、特にルイジアナ州のニューオリンズ市では土地の8割が水没、数百名が亡くなった大災害。

当時、ワシントン大学で建築を学んでいたマリさんは、自国で起こったこの大きな自然災害に衝撃を受けたと言います。

■check! 02/被災者の声に真摯に耳を傾けよ

2013年、台風ヨランダにより大きな被害のあったフィリピン。NGOの支援で建設したレイテ島の中心都市タクロバンの住宅。日本ではあまりない事例だが、世界ではNGOによる住宅建設の支援が多い。


このときから、災害後の住宅課題について調べたいと思ったマリさん。
「阪神淡路大震災後の街づくり、アメリカの災害後の街づくりについて比べるため神戸大学に留学しました。ハリケーンカトリーナでは、多くの被災者が州外への避難を余儀なくされるなど、必ずしも被災者に寄り添った復旧復興ではありませんでした。阪神淡路大震災後の住宅復興においても、アメリカ同様の問題があり、これらをクリアするためのリサーチがしっかり活かされればよかったのですが、残念ながら、東日本大震災でも同じことが起こってしまいました」。

それは、迅速な対応を重視するがあまり、東北の気候を加味せず断熱材なしで作られた仮設住宅であったり、土地の問題でバラバラにされてしまったコミュニティであったり。

マリさんは、研究を通して〝人間中心住宅復興〟の必要性を実感しています。「住民のニーズに合うようなものを作っていくために、実際にそこで暮らしている人の声に耳を傾けることが大切です。日本は、社会福祉という考えをベースにして困っている人に一番手厚い支援をするべきだと多くの人が思っているでしょう。それはとても素晴らしいことだと思うんです」と話します。

被災者の声に真摯に耳を傾ける―。それが、今後起こりうる災害時の住宅復興の大きな助けとなるのです。

PROFILE
マリ・エリザベス 准教授

ワシントン大学卒業後、神戸大学へ。2014年より東北大学災害科学国際研究所所属。災害後の移転に関する政策と住宅復興を研究している。