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宮城県
復興取材レポート

NOW IS.防災 フロントライン Vol.2

人間の「心理」を防災に応用する

■check! 01/情報の受け取り手の「認知」を高める教育を

左は、大学の教育者向けに執筆した「大学の授業を運営するために―認知心理学者からの提案―」。心理学を用いて、いかに学習者の理解度を上げるかを記している。右は、幅広い分野における心理学を解説した共著「心理学の神話をめぐって 信じる心と見抜く心」。

東北大学災害科学国際研究所。ここで、認知心理学を専門とし、災害認知科学研究を行っているのが、邑本俊亮教授です。

認知心理学は、人間が「認識する」「理解する」「判断する」など、頭の中で行っていることにどんな特徴があるのかを研究する分野。

心理学はとても汎用性が高く、例えば緊急地震速報などにも応用されています。

邑本教授は「どんな音が人間にとって不快か、恐怖に思うか。どのくらい怖いか、どんな気持ちになるかを推察するのが、心理学の得意としているところなんです」と話します。

しかしながら、情報の受け取り手の認知が低いと、せっかくの情報も活かしきれません。

邑本教授は「災害時の避難指示などは、聞いても自分のこととして感じないと避難が遅れてしまうんです。情報を出す側は『こんなやり方でやれば…』と一生懸命なのですが、受け止める側が変わらないと。そのためには、事前の教育が必要。私の今の関心事も防災教育なんですよ」と教えてくれました。

■check! 02/人間の「経験」と「感情」を活かして、防災力アップ

名取市閖上地区で、語り部の話を聞くゼミ学生の様子。

学校での防災教育はもちろんですが、邑本教授は「家庭内での伝承が、かなり強い力をもっていると考えています。社会的に家庭内での防災教育が広がればいいですね」と。

また、避難訓練の有用性について「体を動かす知識と事実として知っている知識は違います。何回も、そしてパターンも変えて、自然にそして柔軟に動けるようにすることが大切です。また、人間は場所が変わると思い出しにくくなるので、現場でやることが大事です」と話します。

邑本教授はゼミの学生に、被災地で語り部さんの話を聞かせる活動を続けています。

被災地で話を聞くと学生の反応がまったく違ったそうで「現場で聞くリアリティが大事なんですね。語り部のみなさんには、爪痕が見えるところで雰囲気を感じてもらいつつ、ご自身の気持ちを伝えてほしいです。事実も大事ですが、人間は共感することで話に入り込み、その時の感情は記憶に残るんです」。

心理学を用いて人々の防災意識を高め、少しでも被害を少なくするための邑本教授の研究はまだまだ続きます。

PROFILE
邑本 俊亮(むらもと としあき)教授

東北大学教授。災害科学国際研究所災害認知科学研究分野、大学院情報科学研究科コミュニケーション心理学講座担当。北海道大学文学部行動科学科卒業、同大学大学院にて行動科学博士。専門は認知心理学、教育心理学。