みやぎ復興情報ポータルサイト
宮城県
復興取材レポート

NOW IS.防災 フロントライン Vol.15

宮城発の新たな防災備蓄製品

仙台国際センターに設置されている「HONEY ROOM」。

■check! 01/安心して授乳できる空間を避難所に

考案時のミニチュア試作模型とコンセプト紹介のパネル。

「HONEY ROOM」は、段ボール製の避難所用授乳室。子どもを抱いたまま入りやすいようドアは設けず、入り口を3つの壁面で覆い、中は圧迫感を感じないよう、六角形にするなど、様々な工夫が施されています。

この授乳室を発案したのは、東北工業大学工学部建築学科の3人の女子学生(2019年時4年生)です。「2018年に仙台市から、『仙台防災未来フォーラム2019(以下、フォーラム)』に向けた、『避難所等で活用できる段ボール製品』の提案を学生にしてもらえないかという話をいただきました。学生たちのアイデアの中から、プロが実寸大を製作し、フォーラムに出展するというプロジェクトでした」と話すのは、石井敏教授です。

16の提案の中から選ばれたのが「HONEY ROOM」でした。「彼女たちの中には被災し、避難所での生活経験のある子もいて、リアルな実体験と、女性という視点で、実際のニーズを上手に捉え、使う人を中心に考えられた提案でした」。

■check! 02/企業との協働で防災備蓄製品に

(左から)髙泉 沙知恵さん、浅野 陽菜さん、鈴木 楓由さん。経済産業省特許庁に「HONEY ROOM」の意匠登録出願が受理された時の様子。

実寸大を製作したのは、石巻市で強化段ボールを使った製品の梱包や加工などを手掛ける「今野梱包」。東日本大震災では、段ボール製の家具などを避難所に提供した会社です。被災者の心理に配慮したサイズ調整や、天井のブラインド状の窓など、今野梱包のアドバイスを取り入れ、より実用的な製品として完成。フォーラムでの評判がよく、多くのメディアでも紹介されました。

フォーラムでの高評価を受け、現在「HONEY ROOM」は製品化され、今野梱包で受注生産が可能となったばかり。災害時だけでなく、平時を通して役立てられることが期待されています。

PROFILE
東北工業大学 建築学部 建築学科
建築学部長・建築学科長・建築学専攻長
石井 敏(いしい さとし)教授

浜松市出身。1993年東北大学建築学科卒業、1995年東北大学修了(修士)、1997年〜2000年ヘルシンキ工科大学(現 アアルト大学)大学院留学、2001年東京大学大学院修了(博士)。2001年より東北工業大学講師、2010年より現職。専門は建築計画で、高齢者の介護施設や住宅、認知症のための空間環境のあり方に関して継続的に研究。