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復興取材レポート

【語り部が本当に語りたいこと】 七郷語り継ぎボランティア「未来へ―郷浜(さとはま)」

東日本大震災で津波被害を受けた荒浜を中心に、震災の記憶を語り継ぐ活動を続ける「未来へ―郷浜」。毎月一回市民センターで開催している定例会にお邪魔して、メンバーのみなさんにお話をお伺いしました。

“語る”のではなく、“語り継ぐ”。
仙台市七郷は、仙台平野の代表的な穀倉地帯として知られた地域。仙台市営地下鉄東西線の開業など、都市化が進む一方、荒浜地域は東日本大震災の津波被害により、ほとんどの地域資源を失いました。2013年からは、目まぐるしく変わっていく七郷地域の歴史や、震災の記憶を次世代に語り継ぐ担い手を育成しようと、七郷市民センター主催の講座「未来への伝言―七郷を語り継ぐ」を開催。参加者は3年かけて地域の歴史や地名の由来、被災状況、復興の状況について学びました。

そして2015年12月、講座の参加者で結成されたのが、七郷語り継ぎボランティア「未来へ―郷浜」です。会の目的は、あくまでも“語り継ぐ”こと。“語る”ことではないため、みなさんは“語り部”を名乗っていません。また、“地域の歴史を知る”ことが立ち上げの原点だったため、活動内容は多岐にわたります。例えば、七郷市民センター主催のまち歩きで、史跡等を案内するガイドを務めたり、児童館で開催されるかるた大会で読み手を引き受けるなど、地域のボランティアとして幅広く活動しています。

私たちの体験談を、自分の生活に生かして欲しい。
その中で、主な活動になっているのが、震災の記憶の語り継ぎです。校舎2階まで津波が押し寄せた「震災遺構仙台市立荒浜小学校」や、犠牲者の慰霊と鎮魂のために建てられた「荒浜祈りの塔」をまわるのが基本ルート。被災前と被災後の写真、そして現在の姿を見てもらいながら、東日本大震災以前から七郷地域に暮らしていたメンバーだからこそ、お話しできることを伝えています。

「被災前の写真を見せると、一番びっくりされますね。こんなに変わっちゃったの?と。でも、私たちはその状況を知ってもらうためだけに語り継ぎをしているわけではないんです。大切なのは、どのくらいの津波がきて、どのくらいの犠牲者が出たかではありません。どうしてこうなってしまったのか、こうならないためにはどうしたらいいのかを、私たちの話を聞くことで考えてもらい、自分たちの生活に生かして欲しいのです」と、メンバーの一人は言います。

現在11人いるメンバーの中には、かつて荒浜に暮らしていた方や、ご家族を亡くされた方もいらっしゃいます。亡くなられた方たちの気持ちを想うと、こんな話をしていいのだろうかと考えてしまうこともあると言います。それでも活動を続けるのは、同じような犠牲者を二度と出したくないから。

神社の名前の由来や地域の歴史を調べると、津波にまつわる話がいくつも出てくるという七郷地域。400年前に地域を襲った大津波の歴史は、いつの間にか消されてしまっていましたが、「未来へ―郷浜」の活動が続くことで、東日本大震災の津波の歴史は、途切れることなく語り継がれていきます。

 

七郷語り継ぎボランティア「未来へ―郷浜」
http://www.sendai-shimincenter.jp/wakabayashi/shichigo/