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復興取材レポート

【語り部が本当に語りたいこと】 いわぬま震災語り部ガイド

岩沼市沿岸部のメモリアルパーク「千年希望の丘相野釜公園」を案内する、「いわぬま震災語り部ガイド」として活躍している、髙橋たづよさんにお話をお伺いしました。

東日本大震災により発生した津波で、市の面積の約48%が浸水した岩沼市。かつて多くの人が暮らしていた約10kmにわたる海岸沿いエリアには、6つの集落がありました。その集落の跡地に避難丘を築造し、津波の威力を弱める機能を持たせ、さらに岩沼市の津波の記録や教訓を後世に伝えるメモリアルパークとして「千年希望の丘」が整備されています。

岩沼市は、津波の威力を減衰させた松島湾の島々や、津波の時に3人の命を救った丘からヒントを得て、既存の丘を含め現在14基の避難丘を築造。丘と丘を結ぶ園路に植樹することで、成長した木々が津波の威力を分散・減衰する「緑の堤防」をつくる計画です。

「いわぬま震災語り部ガイド」は、相野釜公園内にある1号丘・2号丘・慰霊碑を約1時間かけて案内することで、地震発生時の様子や、「千年希望の丘」の取り組み、震災の教訓などを伝えています。

語り部の一人、髙橋さんの自宅は、岩沼市の中でも津波が来なかったエリアのため、被災者支援活動などはしていましたが、実際の津波は見ていないそうです。「同じ岩沼市のことなのに、津波被害のことをあまり知らないって悲しいですよね。だから学ぶために、語り部の勉強会に参加したんです。はじめは原稿を読みながらなんとか話をする感じでしたが、涙ぐみながら話を聞いてくれる人もいて…。こんな素人の語りでも、誰かの心を揺さぶることができたんだと、少し自信を持ってお話しできるようになりました」。

語り口や話す内容は語り部によってそれぞれですが、髙橋さんは津波の被害状況や植樹活動のこと、震災瓦礫を用いて築造された避難丘や、幕を下ろすとテントになる東屋のことなど、「千年希望の丘」を巡りながら見えるものについて、丁寧に説明しているそうです。自身で体験していないことは、地域の人から聞いた話を交えながら、できるだけ分かりやすく話しているとのことです。

その中で必ず伝えていきたいのは、「自分で決断して行動する力」についてだと言います。「いろいろなマニュアルがあるかもしれないけど、その場の状況に合わせて自分で考えて、決めて、動く必要があります。それが結果的に、命を守ることにつながります」。
岩沼市では、海岸近くに建ちながら、職員の的確な判断による避難で、入所者の犠牲者がゼロだった特別養護老人ホームがありました。髙橋さんはそうした話も交えながら、「決断力」「行動力」の大切さを伝えています。

「いわぬま震災語り部ガイド」で語り部を続けている方とともに、防災士の資格も取得したという髙橋さん。震災を風化させることなく、未来の子どもたちが笑顔で暮らせるように、「いわぬま震災語り部ガイド」として活動を続けていきたいと話していました。

 

いわぬま震災語り部ガイド
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