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復興取材レポート

【宮城発!元気と食の最新情報】自分の生まれ育った地域、そして自分の暮らす地域を知る事からまちづくりを始める

一般社団法人チガノウラカゼコミュニティ代表理事を務める津川登昭さん。津川さんは前職の広告会社勤務時代に「純米酒BAR」や「せんコン~仙台千人合コン」等の観光や地域活性化に繋がる事業に携わり、「東北の縄文展」や「藻塩と塩竈展」など、東北の歴史や風土を紹介する企画展を多数開催してきました。

その時にふと、自分が暮らしている生活圏の事を、自分はどれだけ知っているのだろうか?という疑問点が沸き上がったと言います。

「塩竈で生まれ、多賀城で暮らしているのに、自分が知っている地域の事って何だろう?というのが活動の出発点でした。それはちょうど震災の1年ぐらい前で、そこから塩竈、多賀城を中心に、利府、松島、東松島、七ヶ浜で活躍する様々な職業の人達と出会いました。まずは車座の飲み会からはじめて。その活動を続けていくうちに、先人達がつくってきた地域文化を継承し、新たな文化も創造して行きたい。そのためには、他の地域の力や、若い人の力も取り入れ、自由な意見が述べられるコミュニティを形成したいなと思いました。」

震災直後、津川さんは牡蠣漁師である友人の船で、壊れた牡蠣棚の修理を手伝うために松島湾へと出ます。

「海の上から陸上を眺めたら、そこには市町村の境界はなかった。その時に塩竈も多賀城も、そして利府、松島、東松島、七ヶ浜も、同じ湾の中にいる兄弟のように感じたんです。」

それは正に、『湾』という活動の核となるテーマが明確となり、津川さんがこれまで市町村を跨いで行ってきた活動が繋がった瞬間でもありました。そしてチガノウラカゼコミュニティ設立のきっかけにもなった心に残る景色でした。

その出来事の後、津川さんは松島湾域の歴史を調べ始めます。何かこの地域を結ぶ歴史的な根拠はないか?すると松島湾全域が日本で最初の製塩文化圏であることが分かり、湾域の連携が復興に向けても、新しい力を生む事を確信していきます。

『湾』という、キーワードが降りてきた津川さんは『湾の駅』構想をまとめていきます。「製塩文化を伝える」「湾の産品を売る」「湾コミュニティ」の拠点とし、地域の誇りの継承を目指すという3つの役割を立てる事になりました。

「よく誤解されるのですが、『湾の駅』という構想は点と点になっている自治体を結んで1つの集合体を作るという目的ではなく、点になっている自治体のそれぞれが独自の魅力を持って、お互いの立ち位置を確立し、ゆるやかな繋がりを保った地域ブランディングを目指していく活動です。」

そして津川さんは、地域内外の人に向けて、松島湾に面する自治体の歴史・文化・人・食・風景の魅力を再認識してもらい、自慢をしてもらうためのツアーを開催します。

そのコンテンツの一つである塩釜水産物仲卸市場を巡るツアーは、国際会議や学会のエクスカーションや飲食店の研修会などにも発展していきました。その後、津川さんは、一般社団法人チガノウラカゼコミュニティを設立。各市町村の仲間たちと『つながる湾プロジェクト』を結成し、現在の起業独立へと繋がっていきます。

津川さんの想いの中にある“境界線のない海”という視点は、現在という時間軸だけではなく、過去の歴史の時間軸も含みます。マーケティング部リーダーを務める合同会社「顔晴れ塩竈」での藻塩商品の開発では、地域の歴史に根付いた製塩技術と現代のマーケットニーズに即した商品を開発してリリースしているほか、「再発見!松島“湾”ダーランド 千年旅行松島湾」のPRパンフレット制作では、福岡の黒田藩に伊達政宗が送ったとされる「塩竈・松島図屏風」を、粘り強い交渉で福岡市から借り受け、見開きページで掲載するなど、歴史の流れに埋もれてしまった部分にもスポットライトを当ててきました。

津川さんの活動は、多賀城市の市民文化創造・交流プロジェクトである「多賀城自由大学・アサモンカフェ」をはじめ、湾内圏域の多種多様なまちづくり事業へと広がっています。

「前職を離れた理由の1つとして、年単位の事業で縛られるのではなく、地域の様々な経済活動や市民活動に深く長く携わっていきたいという想いもありました。気が付けば多賀城市でのまちづくり活動では、これまでは自分では関わる事がないと思っていた福祉分野での活動もはじまり、活動の成果が実りつつあるのかなと手応えも感じています。

今後の活動では、各地自治体職員の皆さんとも、“市町村の区切りがない、海から見た視点”の価値と共有を強めていく事も大切だと考えています。自分たちの地域の財産であるコミュニティ同士の繋がりを生かし、僕らと僕らの子ども達がずっとここで笑顔で暮らせるように地域力を高めていきたいですし、地域の宝を味わい楽しみ自慢する!をテーマに、縄文以来の製塩文化圏で、あたりまえの連携を目指していきたいです。」

チガノウラカゼコミュニティ
https://www.facebook.com/chiganourakaze/
多賀城自由大学
https://www.facebook.com/tagajojiyudai/
つながる湾プロジェクト
http://tsunagaruwan.com/
塩竈の藻塩|塩竈製塩|SHIOGAMA NO MOSHIO
https://mosio.co.jp/

 

 

執筆者PROFILE
一般社団法人IKI ZEN 佐藤大樹