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復興取材レポート

【宮城発!元気と食の最新情報】閖上の新たな名物、しらすのスペシャリスト「閖上の老舗・魚匠鈴栄のちりめん」

震災後、海底に沈んでしまった震災瓦礫や貝毒の流行などにより、仙南地域の特産品である名取市閖上の赤貝や山元町のほっき貝は、不漁をよぎなくされています。そのため、仙南地域の漁師や水産加工事業者は、新たな仙南のブランドとなる特産品を確立するべく、福島県沖が北限となっていたシラス漁の許可を宮城県へと要望し、2年前の夏から、閖上港をはじめとする仙南4地区で、日本最北となるシラス漁の操業が始まりました。

現在、閖上に工場を構える「魚匠 鈴栄」は、福島県浪江町請戸港で明治29年に創業した老舗のちりめん店です。震災後は一時的に休業をよぎなくされましたが、名取市水産加工団地にて、事業の再建を果たしました。

会社は地域への貢献を大事に考えており、シラス漁開始後は「ちりめん」のスペシャリストとして、宮城県農業高等学校の生徒達に、特産品メニュー開発の全国大会「第6回ご当地!絶品うまいもん甲子園」に向けてシラスを使ったレシピ開発の助言を行い、「パリッと閖上おにしらす」を見事に優勝へと導いたほか、柴田町の特産品「雨乞の柚子」を使用した佃煮を開発するなど、シラスや小女子(こうなご)を新たな宮城県の特産品にするべく積極的な活動を続けています。

「鈴栄はちりめん製造に70年以上携わってきました。初代が『山十一(ヤマジュウイチ)』の屋号で鮮魚加工を生業として創業。二代目から『鈴榮(すずえい)』を名乗りました。二代目は漁協の組合長として、地元の苕野(くさの)神社の祭礼『安波(あんば)祭り』を盛り上げてきました。

私達が受け継いできた、ちりめん本来の旨味を引き出す職人の技術で、宮城県の新たな特産品として期待されているシラスのブランド化のお手伝をしていきたいです」と、話してくれたのは「魚匠 鈴栄」の販売部門である「鈴栄商店」を担当する小山美和さん。小山さんは主に、仙台市や各地の催事などで商品の販売をしてきました。

「鈴栄が販売で大事にしている製造直販です。催事で都市部のお客様と会話をすると、商品の様々な反応を直接知る事ができます。小女子(こうなご)の読み方がわからないお客様もいたりするので、読み方を教えてあげると『あら、可愛いらいしい名前だから買っていこう』と言っていただいたり(笑)。あとは、我家で受け継がれてきた『ちりめん』の美味しいアレンジメニューを教えると喜ばれるんです」。

復興庁ハンズオン支援事業として、今年の1月には「仙台タウン情報machico」編集部の協力を得て、「ちりめん」や「佃煮」が大好きな30代から50代までの女性を集めた試食・座談会が開催されました。

この試食・座談会に向けて、一般社団法人IKI ZEN代表理事の齋藤由布子がレシピ開発を担当。昨年の「みやぎまるごとフェスティバル2018」で、みやぎの幸お振る舞いコーナーのメニュー監修をした松本圭介シェフと共同で、日常の食卓やおもてなしの席でも大活躍してくれる「ちりめん」メニューを提案しました。

試食・座談会は、「ちりめん」の食べ比べからスタ―ト。小山さんのレクチャーを聞きながら、自慢の「ちりめん」を頂きます。鈴栄の「ちりめん」は、春の漁期に獲れる小女子と、秋のしらすを使用しているそうで、この日は「釜揚げしらす」、「しらす干し」、「中乾干しの小女子ちりめん」と3種類の「ちりめん」が並びました。

「日常的に目にする『ちりめん』は、流通の関係から日持ちする『上乾干し』や、比較的安価な「釜揚げ」という商品のラインナップが、どうしても多くなってしまいます。

鈴栄は直売店や催事での直販がメインです。だからこそ『中乾干し』の商品を作れます。『中乾干し』は鈴栄独自の乾燥製法で、塩分も控えめ。乾燥しているのに柔らかい触感が楽しめる『ちりめん』です。市場のせりで、魚を見分ける仕入れの目利きに始まり、塩の下限、干し加減を見極める勘所など、代々磨かれてきた匠の技術でつくり上げています」。

参加者の皆さんは、順番に食べ比べをしながら、老舗の専門店ならではの干し方の技術により変化する、「ちりめん」の食味や風味の違いに驚いていました。

「佃煮」の試食は、ちょっと大きめの宮城県産小女子を使用した「小女子佃煮(クルミ)」、「小女子佃煮(柚子唐辛子)」の2種類。

中でも「小女子佃煮(柚子唐辛子)」は、柴田町産の「雨乞の柚子」と唐辛子が生みだす、程よい辛さと柚子の甘い香りの絶妙なハーモニーで男性客からも支持される人気の1品です。

この日の参加者には柴田町在住の方もいて、「雨乞の柚子」と宮城県産小女子とのコラボレーションを始めて知り、驚いていました。一言で「ちりめん」「佃煮」と言っても知れば知るほど奥深く、参加者は小山さんの話しに、ぐいぐいと引き込まれていました。


続いては、「ちりめん」を使用したアレンジメニューの“ヘルシーメニュー編”と“おもてなしメニュー編”から4品を試食してもらいました。

“ヘルシーしらすメニュー編”の最初の1品目は「たっぷり温野菜としらすバーニャカウダディップソース」です。一般的なバーニャカウダソースではアンチョビが使用される事が多いのですが、それをしらすに代替えしたアレンジメニュー。魚の食感が残っているユニークな味わいが好評でした。

2品目は「釜揚げしらすと雪菜の卵とじ」です。優しい味わいが好評で、健康を考えて今日から家族に早速つくってあげたい!との意見が出ました。

3品目、4品目は、ホームパーティでお客様へのおもてなしに活用したい“おもてなしメニュー編”です。「生麩の揚げ出しみぞれ“ねぎじゃこ”のせ」には、小山さんが対面販売でおすすめする アレンジメニューの“ねぎじゃこ”を使用しました。

“ねぎじゃこ”は、白ねぎとごま油とじゃこを混ぜるだけの簡単レシピメニュー。中乾干しのちりめんで作ると更に美味しさが増すそうです。

この日、ひときわ歓声があがったメニューが「ちりめんと枝豆のバルサミコ焼きリゾット」。昆布とチキンブイヨンのお出汁と、焼きリゾットから溢れ出るチーズが織りなすハーモニーに、これはお家で作るよりも、お店で食べたいとの声も。どのメニューもお家で試してみたい!ととても好評でした。

鈴栄商店に代々伝わってきた「ちりめん」の美味しい食べ方「ねぎじゃこ」

 


5月末には、まちびらきを行う閖上地区。「鈴栄商店」は閖上の新たな観光スポットとして注目を集める商業施設「かわまちてらす閖上」にて、4月25日に直営店をオープンしました。

「閖上に来たから鈴栄の『ちりめん』をお土産に買おうといってもらえるようにがんばります。閖上のしらすや宮城県の小女子が仙南地域のブランド品として定着したら、本当にうれしいです。これからも美味しい商品づくりや食べ方の提案など、食で地域を盛り上げ、閖上の発展に貢献してきたいです!」

 

魚匠 鈴栄
住所:宮城県名取市閖上3丁目90-1
電話番号:022-393-6303
営業時間:平日10:00~17:00、土日・祝日9:00~17:00
(定休日 月曜日)
http://suzueinatori.thebase.in/

 

取材協力:「仙台タウン情報 machico」編集部

執筆者PROFILE
一般社団法人IKI ZEN 佐藤大樹