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復興取材レポート

【宮城発!元気と食の最新情報】ワールドマーケットを見据えて発売!ベンチャーマインドから誕生した新商品「旅するかまぼこ」

幕張メッセにて2月に開催された、国内最大規模の食品展示会「スーパーマーケットトレードショー2019」。南三陸町商工会が出展したブースの一角に、全国のバイヤー達から注目を集める商品がありました。

その商品は「旅するかまぼこ うまうま牛たん」と「旅するかまぼこ すきすきチーズ」。

かまぼこ業界の常識を打ち破る、90日間の賞味期限を持つ常温保存可能な商品です。

この画期的な商品を開発した「三陸フィッシュペースト」は、共に創業から100年を超える老舗企業である、南三陸町の「及善商店」と気仙沼市の「かねせん」が合同で立ち上げた新たなベンチャー企業。代表取締役は「及善商店」専務取締役の及川善弥さんが、共同代表取締役副社長は、「かねせん」専務取締役の齋藤大悟さんが務めます。

1月に仙台市内で行われた商品リリースのプレス発表会後、メディアの記事の見出しには“老舗企業同士のタッグ”という文字が踊りました。

「同業種、老舗企業同士が組んだベンチャー企業という話題が先行しましたが、三陸フィッシュペーストという会社を立ち上げたのは、何よりも、“この先の南三陸町、気仙沼市の地域産業全体の未来”を考えての行動でした。

『かねせん』の大悟さんと仲良くなったのは、気仙沼市人材育成道場経営未来塾で出会い、意気投合した事がきっかけです。その後、一緒に子ども向けのかまぼこ作りワークショップを開催したり、互いに老舗会社ならではの経営課題についての話をしてきました。」

善弥さんのお話しによると、復興需要による売上は5年目までが各地域のピークで、その後は減少傾向に転じたそうです。そんな時に信頼している経営未来塾のメンターから、ある一言を言われました。

「自社の業務が落ち着いたら一緒に事業を始めていきたというけど、いつになったら落ち着く時期がくるのか。それまで地域の衰退は待ってくれないぞ。」と。

そこから2人は、互いに激務の合間を縫って会社設立と新商品開発に向けての行動を速やかに起こします。「三陸フィッシュペースト」は商品開発や営業、販売を主体に事業を展開。製造や出荷を両社が担いながら、設備投資を抑え、地域の産業と雇用を維持しながら、両社の収益へと繋げていく事がミッションです。

「商品開発の段階で、最初に競合商品として想定したのは常温品のお土産でした。かまぼこは冷蔵品としての取り扱いになるので、冷蔵ケースの商品棚から外に出る事がありません。

ならば、どの大手企業もまだ挑戦した事のない領域で、新たなマーケットを切り開きたいと思い“常温品のかまぼこ”というコンセプトを打ち出しました。子ども向けに、かまぼこ作りワークショップもしていたので、“魚食による食育”を目的に、商品のターゲットは『子供』とすぐに2人の間で決まりました。

一番苦労したのは、笹かまのレトルト加工の加減です。かまぼこの加圧・加熱・殺菌する温度条件や時間を試行錯誤し、本来の弾力ある食感が残る商品に仕上げました。

次に悩んだのは味です。子どもが好きな味はチーズと決まりましたが、もう1品が出てこない。そこで商品を販売する売場は、主に駅や空港など、お土産品を取り扱う店舗というイメージに立ち返り、仙台名物の牛タンにしました。」

「旅するかまぼこ うまうま牛たん」 「旅するかまぼこ すきすきチーズ」(¥432税込み)

「旅するかまぼこ」は催事だけではなく、JR仙台駅構内の店舗や売場で常設販売されています。駅への売り込みには、インターンに来ていた大学生たちの若い感覚も取り入れていきました。

「大学生たちに、駅への売り込み用の企画書を書いてもらったんです。とにかく、この商品の魅力を、自分たちが面白いと思った視点で書いてもらう様に指示しました。商談は自分がビシッと決めてくるから!と言って(笑)。

そうしたら、自分達では気が付かない角度からの商品キャッチコピーも生まれてくるんですよね。“みずみずしいかまぼこ”って(笑)」

スーパーマーケットトレードショーで熱心にバイヤーとの商談を重ねる善弥さんの活躍に、「及善蒲鉾」代表取締役の及川善祐さんは「最近は取材でも専務ばっかり目立っちゃってなー。」と言いながら目を細めます。

今年の4月には第2弾としてアジアを中心とした外国人観光客向けに、国産ホタテを使用した常温保存のかまぼこの販売が予定されています。震災から8年が経過した宮城県。今後は新たな世代の更なる飛躍に期待が高まります!

 

三陸フィッシュペースト株式会社
会社所在地 宮城県気仙沼市松崎前浜36番地1
工場所在地 宮城県本吉軍南三陸町入谷字桜沢124-1
0226-46-2048
「及善商店」
https://oizen.co.jp/
「かねせん」
https://kanesen-kamaboko.co.jp

 

執筆者PROFILE
一般社団法人IKI ZEN 佐藤大樹