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宮城県
復興取材レポート

NOW IS.対談 in 石巻 雄勝
ムロツヨシさん × 一般社団法人雄勝花物語 徳水利枝さん 徳水博志さん

普通の夫婦の小さな一歩から始まった
大きな支援の輪。

津波によってすべてが流され、生活の色が失われた雄勝を花と緑の力で復興するために、被災した住民自らが立ち上げた「雄勝ガーデンパークプロジェクト」。

今回は、その拠点となる「雄勝ローズファクトリーガーデン」に、俳優のムロツヨシさんと訪れました。プロジェクトの合言葉は「人とつながり、希望を紡ぐ」。地域住民やボランティアとのつながりに支えられて、今年8年目を迎えたプロジェクトについて、代表の徳水夫妻にお話を伺いました。

復興の主人公であることが
心の癒しにつながる。

徳水利枝さん(以下利枝)ー私は生まれも育ちも雄勝です。津波で海沿いの実家が流されてしまい、そこで母も失いました。ちょっとしてから実家があったところに行ったら、辺り一面まっ茶色なの。見渡す限り家もなくて、茶色の地面と瓦礫だけ。さみしくなって、2012年の春に、一株の花を植えたんです。それが始まり。

ムロツヨシさん(以下ムロ)ー最初から、雄勝全体に活動を広げたいと思っていたんですか?

利枝ーそんなこと全然思わなかったんですよ。実家の土地に花を植え始めたら、それはいいね、と支援してくださる人が現れてきたんです。その中の一人が、今も助けてくださっている仙台の造園会社の社長さん。「庭のプロにはプロの技があるから」と土を入れてくれたりして、だんだんと活動が大きくなってきたんです。

徳水博志さん(以下博志)ーこちらからボランティアの募集をしたことは、一回もないんですよ。同じ人が何度も来てくれたり、新しい人を連れてきてくれたりする。今のガーデンも、レンガから何から全部ボランティアの人が手伝ってくれたんです。私たちは普通の夫婦ですが、そんな小さな個人でも、一生懸命最初の一歩を踏み出すと、自然と人がつながってくるんですよ。たった一歩で、輪が広がる。人間って、捨てたもんじゃないんだな、とつくづく感じました。

ムローそうか、一歩踏み出す、ですか。最近は大きな自然災害が増えて、日本中どこにいても、いつそういう場面に直面するか分からない状況じゃないですか。自分も、何かあったとき、徳水さんのように一歩踏み出せる人間でありたいですね。

利枝ー始めたころは、人に助けてもらうだけじゃなくて、自分が行動する側になりたいというのもありました。当時は靴もドロドロ、財産は今着ているものだけ、みたいな状態だったでしょう。人に面倒見てもらわないとどうしようもない状況だったんですけど、やっぱり心のどこかで、これじゃいけないと思ってたんです。支援を受けるだけじゃなくて、生み出す側になりたい、というか。

博志ーそう。支援慣れするのは、一番良くない。

ムロー支援慣れ!なるほど。これは、当時の状況を経験した人からしか出てこない言葉だなぁ。

博志ー与えられることに慣れると、待ってるばかりになるんですよ。でも、それじゃあいつまでたっても、本当の癒しにはならない。行動して、自分が復興の主人公になって、はじめて癒しになるんです。自分が、自分の環境を変える主体になるのが、本当の復興なんじゃないかなと思っています。

ムローこれから、新たにやりたいと思っていることはありますか?

博志ーオリーブの木を植え始めました。北限のオリーブ。来年くらいから商品開発もして、雄勝の新たな産品をつくれたらいいなと思っています。今度は花が咲いている季節に!ボランティアしに来てくださいね!

ムローそうですね、ぜひ!

(文責・沼田佐和子)


ムロツヨシ(むろ つよし)
1976年生まれ、神奈川県出身。俳優。大学在学中から役者を志し、下積み時代を経て、テレビドラマ、舞台、映画など幅広く活躍中。近年は「LIFE!~人生に捧げるコント~」など、喜劇にも活動の幅を広げている。


徳水利枝(とくみず りえ)
徳水博志(とくみず ひろし)

利枝さんは一般社団法人雄勝花物語代表、博志さんは共同代表。雄勝を花と緑の力で復興したいという想いで立ち上げた。現在は、ガーデン内の管理運営や体験教室などのほか、オリーブを活用した地域産品の開発も目指している。

※この取材・撮影は2月上旬に実施しました