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宮城県
復興取材レポート

目指すはALL南三陸町産のワイン 南三陸ワインプロジェクト 佐々木 道彦さん

入谷地区に植樹されたシャルドネ。1年目にして小さなブドウを実らせるほどに成長。

南三陸町の北西に位置する入谷地区。
里山を見渡せる傾斜畑に、白ワイン用のブドウ品種、シャルドネが約700本植えられています。

このブドウ畑は、元は耕作放棄地でした。
入谷地区では、耕作放棄地を活用してブドウを栽培し、ワインの醸造を目指す「南三陸ワインプロジェクト」が2016年から進められています。

今年1月、ワイナリーを設立するために、「南三陸町地域おこし協力隊」として着任したのが佐々木さんです。
「ワインは『人と人』、『人と地域』をつなげる魅力や可能性があります。南三陸町産のワインで、町の特産である海産物とのマリアージュやワインツーリズム、さまざまな産業と連携して、南三陸町の復興に貢献していけたら」。

まずは南三陸町ならではのワインづくりを確立したい。

南三陸町入谷地区に植樹されたシャルドネは今年で3年目。
丘陵地の傾斜畑には、大人の背丈ほどの木が並んでいます。

「南三陸ワインプロジェクト」は、2016年に苗木の植樹から始まりました。
「南三陸産のブドウを使ったワインの醸造までには、あと1~2年かかります」と佐々木さんは言います。
「同じ地域おこし協力隊の正司勇太さんと仙台秋保醸造所の協力で、苗木の栽培とワインの醸造を研修中です。今、プロジェクトは2人で試行錯誤しながら進めています」。

仙台秋保醸造所で研修をしている佐々木さんと正司さん。

南三陸町では、東日本大震災によって加速した人口減少や少子高齢化で、各産業の担い手不足が課題となっています。
特に農業は、耕作放棄地の増加が顕著で、解決につながる取り組みや生産物を見いだそうと、入谷地区の農業法人と地域おこし協力隊員が協同し、耕作放棄地でさまざまな作物を栽培しています。

「ブドウの苗100本を寄贈するので、南三陸町で育ててみないか」と提案してくれたのは、仙台秋保醸造所でした。

仙台秋保醸造所は、宮城の豊かな食を活かすワインづくりをしているワイナリー。
入谷産のリンゴでシードルをつくりたいと声をかけてくれた際に、耕作放棄地での取り組みに賛同。
ブドウを育てるなら、ワインも醸造したいと、このプロジェクトがスタートしました。

ワイナリー設立のために地域おこし協力隊として南三陸町に来た佐々木さんは、大手楽器メーカーの新規事業のプロデューサーとして、企画開発やマーケティングを手掛けていました。
東日本大震災後、休暇を利用してボランティア活動をしていくうちに、復興の力になれる仕事をしたいと17年務めた会社を辞め、仙台市に移住。
伝統工芸の職人との復興プロジェクトで、ワイングラス制作に携わります。

「もともとワインは好きだったのですが、グラスの形の意図やワインの種類などをマーケティングしていくうちに、ワインがより好きになりました。漠然とですが、ワイナリーをやってみたいと思ったんです」。

そんな時、南三陸町のワイナリー設立の人材募集を見つけ、より直接的に沿岸地区の役に立てることと、ワイナリー設立という想いを叶えたいと志願しました。

前職で培ってきた新規事業の提案やマーケティングのノウハウはあるものの、ワイナリーに関しては初めての経験ばかり。
経営の研修を受け、ワイナリー建設のための会社を設立する準備を進めています。

今春発売されるプロジェクト初ヴィンテージの白ワイン。

「まずは、南三陸の海産物に合うワインをつくること。ワインづくりを持続的な産業として発展させて、水産業や飲食店だけではなく、宿泊業や旅行業などさまざまな産業に波及できたらと思っています」。


南三陸ワインプロジェクト
佐々木 道彦 さん

山形県山形市出身。大手楽器メーカーの新規事業開発に携わり、東日本大震災後、仙台市に移住。2019年1月、南三陸地域おこし協力隊に着任。南三陸ワインプロジェクトでワイナリー設立を目指し、奔走中。