みやぎ復興情報ポータルサイト
宮城県
復興取材レポート

あの日から8年。女優・岩田華怜さんと新しい山元町へ。

「やまもと夢いちごの郷」で支配人の馬場健保さんと。

住民を笑顔にし、交流を深めるイベントを。

宮城県仙台市出身の女優・岩田華怜さんは、2017年からみやぎ復興情報ポータルサイトで「いわたかれん復興フォト」と題してブログを連載しています。
実際に沿岸部を巡り、気になった場所や話題のスポットを岩田さん自身が撮影。
写真にまつわるエピソードを執筆したブログの更新は、2019年1月で16回に達しました。

「ブログの取材を通して、私自身、宮城のおいしいものやおもしろい場所をたくさん発見しました。宮城にまだ来たことのない人たちにも響く記事になっていたらいいなと思っています」と岩田さんは2年間を振り返ります。

「この短期間で新しい施設やお店もたくさんできて、どんどん復興してきているなと感じています。頑張って震災を乗り越えた人たちにもたくさん出会いました。でもそんな人たちも、見えないところでは今も必死に頑張っている。そういう側面もあわせて発信できたらいいなと思うんです」。

この日の舞台は山元町。
ブログの取材も兼ねて、まちのあちこちを巡ります。

最初に訪れたのは、山元町歴史民俗資料館。
山元町で発見された約1400年前の「合戦原遺跡壁画」が移設・公開されています。

復元された合戦原遺跡壁画
山元町歴史民俗資料館に移設された壁画。2018年11月に公開され、1カ月で通常の1年間に相当する人出があったそう。

「合戦原遺跡壁画」は、沿岸部の住民が集団移転するための用地を発掘調査している時に発見されました。

「土砂に埋まり山林となっていた斜面を調査しているときに54の横穴が見つかって。これが飛鳥時代の有力者のお墓だったのですが、そのなかの一つで発見されたのがこの壁画でした」。
そう話すのは学芸員の山田隆博さん。
何を隠そう、この壁画の第一発見者です。
「入り口部分の調査をしていた時に、奥の壁に“人の顔”が見えたんです。最初は子どもの落書きかと思いました」。

発掘を進めると、人間や鳥、植物などを描いたと思われる〝線刻壁画"を多数発見。
横穴墓の壁画としては、東北有数の規模だと注目が集まり、資料館への移設が決まりました。

横穴墓の壁画。どこか愛嬌のある、人物の線画。この絵をモチーフに資料館のPRキャラクターも誕生。

「津波で家を失った人が住宅を再建するための用地でしたので、工事を遅らせてはいけないと。
一方で貴重な歴史資料を保管するために、全国の考古学者が力を合わせて移設に協力してくれたんです」と山田さん。

「こんな貴重なものが土の下に眠っていたなんて驚きました」と岩田さんは目を丸くします。

「今後もたくさんの埋葬品を公開していく予定です」。
山田さんは目を輝かせて話してくれました。

震災は続いている。そのことを伝えたい。

次に訪れたのは「やまもと夢いちごの郷」。2019年2月にオープンしたばかり。
ちょうどいちご狩りの季節だったこともあって、来場者はオープンからの3日間で3万人を超えました。

ずらりと並ぶいちごを見て「おいしそう」と岩田さん。
「こっちのワインは女の子でも飲みやすそう。このりんごは市場にあまり出回らないんでしょう?食べてみたいです」とあれこれ見て回ります。
旬のいちごをたっぷりのせたソフトサンデーに「おいしい!」と舌鼓。

「やまもと夢いちごの郷」に並ぶ商品は、農作物、海の幸、加工品など300種類以上にもなります。

山元ブランド認証品コーナー
いちごやりんごなどの生鮮食品のほかにも山元町で開発されたワインなどの加工品も並びます。

支配人の馬場健保さんは「予想以上の人出でうれしい悲鳴。いろんな人が待ち望んだ施設だったんでしょう」と話します。
「地場の食材をたくさん買ってもらいたいのはもちろんですが、山元のお店や観光スポット、震災関連の施設などにも興味を持ってもらえる場にしたいですね」。

やまもと夢いちごの郷「山元にはこんなにたくさんの名物があるんです」と馬場さん。

実は山元町は、岩田さんが一番最初のブログで取材に訪れた町です。
「新しい施設ができて、多くの人でにぎわっている様子を見て、ああ、東日本大震災から8年もたつんだな、と実感しました。私も前向きな気持ちになれました」。

岩田さんは現在、女優として経験を重ねる日々を送っています。

「落ち込むことがあっても、歯を食いしばって頑張れるのは、何も成し遂げないうちは地元に帰って来られないな、と思っているから。ここで頑張っている人たちに負けないように、今の自分に甘えることなく前に進みたい。宮城でもらった絆を大切に、それを拡げる役割を担えたらいいなと思っています」。

ブログ用の撮影をする岩田さん。更新をお楽しみに。

これからも東北の人々に寄り添いたい、と話す岩田さんの目は、以前と変わらず、力強く未来を見据えていました。

(文責・沼田佐和子)


岩田 華怜
1998年5月13日宮城県仙台市出身。2011年2月にAKB48に加入し、チャリティソング「花は咲く」に参加するなど、被災地支援の活動に注力。2016年にAKB48卒業。女優として数多くの舞台に出演する。2019年にみやぎ絆大使に就任。