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復興取材レポート

【復興インタビュー】一般社団法人ReRoots

仙台市若林区沿岸部の農村地域で、農業と農村の再生を目指す大学生主体のボランティア団体「ReRoots(リルーツ)」。全国的にも珍しい農業に特化した支援活動について、代表を務める広瀬剛史さんにお話を伺いました。

復旧・復興を経て、地域おこしの段階へ

東日本大震災発生直後、東北大学川内キャンパス近くにある川内コミュニティーセンターに避難した広瀬さんは、そこで出会った学生と一緒に、仙台市のボランティアセンターに登録して津波被災地のガレキ撤去を行いました。民間のボランティア団体も多く活動する現場で様々な問題点に気付いたり、違和感を覚えた学生たちが「それなら自分たちでやろう!」と立ち上げたのが「ReRoots」の始まり。広瀬さんは代表として彼らの活動をサポートしていくことになりました。

ただし、ボランティア団体を立ち上げるからには、誰を対象にして何をするかが問題だったと広瀬さんは言います。「仙台市の大学生たちが主体なので、沿岸部でも自転車などで通える範囲が大前提。そうなると宮城野区か若林区でしたが、農業地帯が広がる若林区は、家屋の泥出しやガレキ撤去が進んでも、農地は手付かずでした。そこで農業支援ボランティアの必要性を感じ、若林区の農業と農村再生に的を絞って活動を始めました」。畑に埋まっているガレキを掘り起こして取り除くところから始まり、地元農家の野菜を地域外販売することで農家の販路の拡大に貢献したり、よみがえった田んぼから採れた稲わらで復興の象徴「わらアート」を作るなどの農村ツーリズムを企画したり―。当初は10人ほどで始まった活動も、今では約60人の大学生たちが参加しています。

地域住民や農家の目線に立って活動を続ける「ReRoots」のコンセプトは、「復旧から復興へ、そして地域おこしへ」。ガレキを撤去し、農地を再生し、営農を再開した現在は、地域おこしの段階へ入っています。「ReRoots」が考える地域おこしの課題は「農業」と「コミュニティ」に分けられます。農業の課題解決に取り組むのが「農業再生部門」。とりわけ、農家の後継者育成は大きな問題です。そこで「ReRoots」から新規就農した若手農家グループを中心に「農村塾」を検討中。就農希望者が農業技術を学びながら、地域の歴史や文化を学び、後継者不足に悩む農家で農業研修を受け、就農できる仕組みづくりを考えています。

一方、コミュニティ面の課題を担うのが「農村コミュニティ再生部門」。若林区沿岸部は津波被害により過疎化と高齢化が進んでいますが、高齢者が安心して元気に暮らせる農村をつくることで、魅力を増し、住民の満足度は高まり、新規就農者などの転入者が定着するはず。都会のようになることが目標ではなく、農業を基本に独自の食文化やお祭りなどが成り立っていく“ひなびた持続する農村づくり”を目指していると広瀬さんは言います。

大学生主体の活動から、広がる農村再生

「ReRoots」が一般のボランティア団体と大きく違うことの一つは、学生主体だということ。つまり、数年でメンバーが入れ替わるということです。「代替わりには苦労しましたが、肝となるチーム作りは相当研究しました」と広瀬さん。ガレキ撤去を経験していない年代が増える中、時には問題も生じましたが、あくまでも大切にしているのは農家目線。自分がやりたいことをやるわけではなく、相手の目線に立ち、共に地域をつくっていくという基本理念を受け継ぎながら活動を続けています。

また、基本的には大学生主体の団体ですが、社会人となった卒業生もその活動の輪を広げています。6月13日(土)のオープンを予定しているスイートポテト専門店「仙台いも工房りるぽて」もその一つ。材料となるサツマイモには、苗を植えるところから収穫するところまでを体験してもらう「ReRoots」の「おいもプロジェクト」で育てたものも使用しています。今後は農村ツーリズムの一環として、販売体験まで出来る場を考えているのだとか。若林区沿岸部の復興からの地域起こしはまだ始まったばかり。若者ならではのフットワークの軽さと柔軟なアイディアで、これからも「ReRoots」の農村再生は続いていきます。

一般社団法人ReRoots

https://reroots.nomaki.jp/