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宮城県
復興取材レポート

【南三陸 探訪】
新しいものはいつも足元にある。 掘り出された南三陸の魅力。

>>「NOW IS.対談 in 南三陸 ワッキー貝山さん × アミタ株式会社 野添幹雄さん」はこちら

佐藤太一さんが管理する山で、合同会社MMRの面々と。左からワッキーさん、佐藤太一さん、佐藤克哉さん、佐野薫さん。

まちレベルで実現する資源の循環。

対談を終えたあと、一行は「南三陸BIO」の見学へ。「町内の小中学生が社会科見学で来てくれることもあるんですよ。学校の授業で資源循環のことを取り上げていただけることも増えてきました。『南三陸町バイオマス産業都市構想』が町のみなさんに浸透してきているな、とうれしく思っています」。

施設のそばに来て印象的だったのは、嫌な臭いがほとんどしないこと。ワッキーさんは「こういう施設って臭いがあるイメージだったけど、ほとんど無臭!」と驚きの声を上げます。

生ごみと汚泥を発酵させて作った液肥。作物の育ちがいいと評判。

「バイオガスをつくる発酵の工程では、酸素を入れてはいけないんです。密閉してつくるので、臭いも漏れません」と野添さん。
「分別した生ごみで、地元の農家さんの野菜が育てられ、食卓に上がる。ごみ出しをきっかけに交流が生まれ、資源循環を軸に、人同士の関係も紡がれていく。私たちが目指すのは、そんな循環の輪が広がる未来です」。

ワッキーさんも頷きます。「日本全体、世界全体でやるというとハードルが高いなと思うけど、自分たちのまちレベルでこういうことができるなら、真似したいと思う自治体もありそう。環境やコミュニティの問題は、自分たちの世代だけじゃなく、ぼくたちの子どもにも関係してくることだから、今のうちにやっておけることを進めたいですよね」。

管理が行き届いた森は、日光が入るため、下草が青々と生えるそう。

世界に誇れるモデルケースに。

森・里・海・ひとが持続可能なかたちで共生していくという「南三陸町バイオマス産業都市構想」には、アミタ(株)のほかにも様々な地元企業が参画しています。例えば戸倉地区では、海の資源を守りながら高品質の牡蠣をつくり、日本で初めて「ASC認証」※1を取得しました。森でも環境に配慮した取組が行われており、人と森が共生するための取組を実施しているとして、「FSC®認証」※2を取得しています。

「南三陸町バイオマス産業都市構想」のイメージ図。それぞれの場所で地元企業が頑張っています。 出典:南三陸町バイオマス産業都市構想

「ASC認証とFSC®認証を同時に取得している地域は、世界でも珍しいんですよ」。そう話してくれたのは、次に訪れた「合同会社MMR」の佐野薫さん。

合同会社MMRは、林業をなりわいとする佐藤太一さん、運送業を営む佐藤克哉さん、土木会社を営む山内利也さんが2015年に設立した会社。南三陸産の木材を使った木質ペレットの開発に取り組んでいます。木質ペレットとは、粉砕した木材を圧縮した燃料。燃焼効率が高く、薪やチップより扱いやすくエコであると注目を集めている素材です。

合同会社MMRが開発と普及に取り組む、南三陸産の木質ペレット。

「山は決して津波で全壊しない。有事のとき、南三陸の財産になる場所なんです」と話すのは、林業を営む佐藤太一さん。「南三陸町の77%は山。エネルギーを自給することを考えたとき、山はポテンシャルが高いんです。木質ペレットはペレットストーブがあれば、とても使いやすい燃料です。灯油ストーブに置き換える気持ちで、その良さを勧めていきたいと思っています」。

木質ペレットのストーブを扱ったことがあるというワッキーさんは、何度も頷きます。「木質ペレット、いいんですよね。なんとなく火がやわらかい感じがする。ペレットストーブを趣味やインテリアとして使う人には何度か会ったことがあるけど、南三陸では、何かあったときの保険として木質ペレットの普及に取り組んでいるんですね」。

保育所や病院など、ペレットストーブを取り入れる施設も徐々に増えているそう。佐藤克哉さんは「南三陸が抱えている、防災やエネルギー、高齢化などの問題は、日本全体から比べると10年進行してしまっています。いわば課題先進地域。これからの日本のモデルケースになれればと思っています」。

合同会社MMRの本拠地は、シェアオフィスにもなっています。

地元のいいもの再発見し、育てる。

南三陸BIOと合同会社MMRの訪問を終え、ワッキーさんは「新しいものって、いつも足元にあるんだよなぁ」と言います。「生ごみのリサイクルも、木材を燃料として使うことも、もともとは昔からやってきたことでしょ。今日訪問した2つは、そういう地元の本当の良さを見直して、新しいものにチェンジしている。ぼくが震災後南三陸に通っていたのは、まだ米軍が炊き出しをしているような時だった。あの時はまだよちよち歩きだった事業が、地元に根を張り、しっかり動き出しているのを見られて、すごくよかったなと思います」。

最後に訪問した「南三陸さんさん商店街」では、化石のガチャガチャを発見したワッキーさん。

化石のガチャガチャの前で、中村悦子店長と。

さんさんマルシェの中村悦子店長に「歌津地区に、本業は漁師で、化石も発掘している方がいて、その人のアイディアで南三陸産の化石をガチャガチャにしたんです」と説明を受け、「漁師が採った化石なの!?」と声を上げて笑うワッキーさん。2回挑戦し、2回とも二枚貝の化石をゲット。「ほら、この化石だって足元にあったものでしょ」と笑顔を見せてくれました。

【ここに注目! NOW IS.EYE’S】

南三陸さんさん商店街の中にある「さんさん市場」では、南三陸を中心に地域の魚介やスイーツ、雑貨などを販売しています。店頭のポップや地元の方との会話で温かさを感じられるお店です。

※1 ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会):環境に負担をかけず地域社会に配慮して操業している養殖業に対する国際的な認証制度。
※2 FSC®(Forest Stewardship Council®: 森林管理協議会):適切な管理がなされた森林と、そこから切り出される木材に認証(証明)を発行し、ラベルをつけることで、消費者に地球環境に配慮した木材を選んで買う機会を提供する制度。


ワッキー貝山(わっきー かいやま)
1970年仙台生まれ。吉本興業を経て、フリータレントとして独立し、TV、ラジオ、イベントなど宮城県を基盤にマルチに活動中。ガチャガチャ収集家としても知られ、今年「ガチャ愛100%ワッキーが贈る 昭和レトロガチャ 最強コレクション」(グラフィック社)を出版。