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宮城県
復興取材レポート

【語り部が本当に語りたいこと】一般社団法人 防災プロジェクト 中井政義さん

私もあの日、津波で家と仕事、生活基盤を失いました。

約1ヵ月の避難所生活の後、ライフラインの復旧を待って
自力でアパートを借り、新たな生活をスタートしました。

そして、震災から約1ヵ月後に見たテレビ報道を見て、
愕然としたあの記憶は今でも忘れられません…。

さぞかし、世間は津波の被害報道で持ちきりだろう!と思いきや…
津波被害の報道は無く「復興」という言葉を使った映像が流れていました。

地域一帯瓦礫だらけのこの状況の「どこが復興なんだ!」
「まだ復旧すらしていないぞ!」と現状と報道のギャップに憤りを感じました。

そこで、自身でブログを立ち上げ、被災地の現状を写真で伝える活動をスタートしました。
そのブログがきっかけで「震災を風化させない全国講演活動」が始まることになりました。

東海大静岡翔洋高校講演

 

京都・黄色い安否ハンカチ制作ワークショップ

 

2012年秋、「被災地で語り部不足!」、「個人(小人数)依頼者は断っている」という内容の
新聞記事を見て「断るなんておかしい…ならば自分が語り部不足の力になれれば!」と
講演活動の経験を活かし、被災地の現状を伝える語り部ガイドをスタートしました。

開始して6年、これまで約10,000名の方々をガイドしてきました。

明治大学ガイドの様子

 

JICAガイドの様子

 

語り部をしていて感じること、それは…

3.11以降、日本全国で災害が多発している状態でも
まだまだ国民の危機意識が低いという点です。

ガイド依頼者と会話する中で感じるのは、災害に対する不安を感じていながらも
ほとんど、対策が取られていない現実です。

災害を他人事と感じ「我が家(自分)は大丈夫」という、
正常性バイアスによるものだと感じます。

そこで、私はガイドで伝える内容を工夫しています。

もちろん、被害状況もご説明しますが、自身が自宅や前職を失っている経験から
被災経験者として「被災者になると、どんな苦しみが待ち受けているのか?」

「それがどれだけ長引き、どのように被災者を苦しめ続けるか?」

「心の復興問題」に重点を置いて語り部をしています。

要は、お金で解決できる問題より、お金で解決できない問題。
人間関係、支援制度の壁、改善されない法制度、国の対応等々、
被災者を苦しめている要因を伝えています。

さらにこれから、もっと伝えたいこととして…

近い将来発生する可能性が高い、南海トラフ・首都直下型地震について
危機感を持ってもらう語り部活動を意識しています。

例えば、約1,100年前・・869年 貞観地震が発生し、その18年後に仁和地震が発生!
約400年前・・1611年 慶長三陸地震が発生し、その96年後、1707年に宝永地震が発生!
約80年前・・1933年昭和三陸地震が発生し、その11年後、1944年に昭和南海・東南海地震が発生!

過去3度、東日本⇒西日本の順番で大地震が発生し、3.11から7年が経過しています。
国の想定では、30年以内に70%から最大で80%の確率で南海トラフ地震が発生する可能性があって
最悪、南海トラフ三連動地震の場合、死者予想が最大32万人に達するなど…。

石巻に設置されているこの事実を伝える看板の前で説明するだけで、東南海地区の方々は
目つきを変えて、真剣に聞き入ります。

門脇の防災・減災看板

 

このように他人事から自分事に意識変化が起こるような伝え方を心がけていますが、
実際に伝えて驚くのが、東南海の方々が「え~っ、そうなんですか?」と、
南海トラフ地震の被害想定を知らない方が殆どであるという点です。

この状況に危機感を抱き、対面でこの事実を伝えることができない東南海地区在住者にも
「南海トラフ地震が近づいている」という警鐘を鳴らす媒体を(第一弾として)作成しました。

独自制作した南海トラフ用配布ポスター

今後、ポスター、チラシ等で東南海地区に拡散させるプロジェクトもスタートする予定です。
さらに、被災地に足は運べないけど、南海トラフ地震に不安を抱えている方に対して
ZOOMというWeb会議システムを活用し、南海トラフ地震が発生した場合に、
津波からの避難方法や家族をどのようにして守るか?など、自身の実体験を伝え、
日ごろ抱えている不安を解消して頂くプログラムを受けてもらう「Web語り部ガイド活動」も行います。

 

 

一般社団法人防災プロジェクト
代表理事 中井政義
http://防災プロジェクト.com/