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復興取材レポート

【NOWIS.復興インタビュー】東松島市「キボッチャ」 前編

今年の7月21日にグランドオープンしたばかりの施設が、東松島市・野蒜にあります。

施設の名前は「KIBOTCHA(キボッチャ)」。中からは、子ども達の笑い声や走り回る音が聞こえ、なにやら楽しそうな雰囲気。今回は「KIBOTCHA」を運営する貴凛庁(きりんちょう)株式会社代表取締役 三井紀代子さんのお話を伺ってきました。

KIBOTCHAに、まずは来てみて
KIBOTCHAは東松島市・野蒜駅のすぐ側にある、防災体験学習型の施設です。
震災後に使われなくなった野蒜小学校を利活用し、運営されています。

「私たちはKIBOTCHAのことを、総合エデュテインメント施設と呼んでいます。防災を軸にさまざまなサービスやイベントを提供していますが、ひとことでここを説明するのは難しいんですよね。まずは来場してもらうと、わかりやすいのですけれど」と笑って話すのは、代表の三井紀代子さん。

三井さん自身は、もともと埼玉県に住んでいました。東日本大震災で直接大きな被害はなかったものの、震災後は自衛官OGとしてボランティアを派遣する仕事の手伝いなどをしていました。そのときに、母親目線で何かできることはないか、とKIBOTCHAの元になる遊んで学べる防災学習施設の構想を思いついたそうです。それが3年前のことでした。
最初は1人で構想を広げるだけでしたが、OBなどの仲間が次第に協力してくれるようになり、とうとうオープンまで漕ぎ着けました。

「4月26日のプレオープン後から、大勢の方がKIBOTCHAを訪れています。インターネットや、テレビを見て来てくれる方が多いですね。プレオープンから、約1万1700人以上もの方々が来場しています。野蒜駅周辺には、目立った大きな施設があるわけでもなく、観光地としては未発達なのに、これほどの人数がここを訪れてくれているのは、すごいことではないかと思います。」

 

防災の軸は外せない
KIBOTCHAは、1Fに浴場とレストラン、2Fに防災学習の部屋、そして3Fに宿泊用の部屋が並んでいます。

防災学習のほか、宿泊施設やお風呂を設けているのは観光のためですか、と伺うと
「実は最初から観光誘致のために設けたわけではないんです。KIBOTCHAの使用目的として、防災学習のほか、地域の方のためのコミュニティスペースや、企業の方のオフサイトミーティング・オフサイトアクティビティなどに利用していただきたくて。

そのためには宿泊施設なんかも必要、ということになって今の形態に落ち着きました。その結果、観光誘致にも繋がるような宿泊施設が完成したんです」と三井さん。あくまで、防災を主軸とした施設づくりが、結果的に観光産業にも貢献できるようになったのです。

利用者の声を聞いて
たくさんの方が訪れているというKIBOTCHA。さまざまな声を耳にするそうです。

「子どもに行きたい、行きたい、とせがまれて何度も来場してくださる親子連れの方や、子どもにせがまれて来たけれども、親御さんのほうが夢中になって遊んでしまった、という方もいらっしゃいました。子ども防災教育キャンプというイベントに参加したお子さんが、たくましく成長して帰ってきたというエピソードも印象的でした。

1Fのレストランも、東松島市にまつわる料理をお出ししているのですが、凝っていて美味しいと評判です」

県内の利用者が多いそうですが、夏休みシーズンには全国からも大勢の方が来場し、賑わいを見せたKIBOTCHA。大人も子どもも夢中になれるのが魅力のひとつです。

「また、『こうしたらもっといいのではないか』という声もたくさん頂いており、そういった声をいただいたら反映するようにしています。東松島市内の企業の方からもアドバイスを頂くこともあるんですよ」

KIBOTCHAを受け入れ、アドバイスをくれる住民の方や、企業の方から、町のあたたかさを感じると語ってくれた三井さん。他県の出身でありながらも、施設の存在とともにすんなりと受け入れられ、喜ばしいと語ってくれました。

次回は、KIBOTCHAの施設紹介をメインに、お伝えいたします。

 

~プロフィール~

三井紀代子(みい・きよこ)
貴凛庁 株式会社代表取締役。
平成30年7月にKIBOTCHAをグランドオープン。

 

執筆・ライター 昆野沙耶