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宮城県
復興取材レポート

時の流れを取り戻しつつあるこの土地で。LiLiCoさんとマラソンコースを歩き、街の人々と語り合う1日。

「ここがスタート地点?実感わくなあ」。潮風が心地よく背中を押してくれる夏の日。「東北・みやぎ復興マラソン2017」でフルマラソンを走るLiLiCoさんと名取市、岩沼市を歩きます。

「当日は駆け抜けることになると思うから、今日はゆっくり見て回りたいですね」。

最初に訪れたのは、岩沼市の千年希望の丘。集落があった場所に避難丘を建設し、公園として整備された場所です。この地区の住民だった中川さんが案内してくれました。

「ほら、この道は古いのをそのまま残したの。ここにくると前のことを思い出すね…。今でも地区の人とは交流があるんですよ。草取りするよって言うと何十人も集まるし」。

中川さんの話に熱心に耳を傾けるLiLiCoさん。「震災を経験した人の話を聞くと、痛みや心の変化をこんなにも感じられるんですね」。

千年希望の丘を歩くLiLiCoさんと中川さん。

こんな気づきもありました。天皇陛下ご訪問の写真を見て「去年、来てくださって」と話す中川さん。でも写真の日付は一昨年です。首をかしげる中川さんを見て、LiLiCoさんははっとした表情。

「これって、時間の流れが日常に近づいたってことなんじゃない?被災直後って、短い間にいろいろなことがあって、時間がなかなか進まないような気がしたけど、生活が落ち着いてきて、いつものペースを取り戻しつつあるんだよ。きっと」。

 

次に向かったのは、マラソンの折り返し地点の名取市閖上地区。今年から解禁された閖上のシラスを使い、つくだ煮などを生産している「鈴栄」を訪れました。

一口味見をして「おいしくて止まらない!」と声を上げるLiLiCoさん。ご主人も満面の笑みで「もっと食べて」。「ご苦労もあったでしょうに、皆さん笑顔で本当に良かった。リピートします!」。

「鈴栄」の工場で(名取市) 閖上のシラスを食べ「抜群に私の好み!歯ごたえが最高!」とLiLiCoさん。

最後は、仙台空港に新設された「ランナーズポート」を見学しました。仙台空港は平成28年に民営化。

案内してくれた営業推進部長の岡崎さんは「フライトが増え、東北を訪れる観光客が増えましたが、空港の周囲は被災当時と変わらない光景が広がっています。空港を起点にした賑わいをもたらしたい」と話します。

使い勝手を第一に考えた設備を見て「いい!使いたい!」とLiLiCoさん。「マラソンに参加された方だけではなく、地元のみなさんに気軽に使ってほしいですね」と岡崎さんも笑顔を浮かべます。

仙台空港のランナーズポート ロッカー、シャワーなどが完備。ランナー向けのコースマップも掲出されています。

「じっくり歩いたのは初めてなんだけど…」。帰りの車中でLiLiCoさんは言葉を探すように、そう切り出しました。

日和山(名取市) 東北・みやぎ復興マラソンでは、この辺りが折り返し地点になる予定。

「みんな地元への愛が大きいな、と。力を合わせて頑張るという気持ちをすごく感じたの。大きな悲しみを経験すると、大きな愛があることに気が付けるんじゃないかな。こういう愛がある街だということを、伝えたいし、私も忘れないでいたいと思いました」。(ライター・沼田佐和子)

 

LiLiCo


1970年スウェーデンのストックホルム出身。タレント、歌手、プロレスラーなどとして、幅広く活躍するほか、現在は宮城県のローカル番組にも出演。風化防止と復興支援にも取り組み、平成28年には売上の一部が寄付されるCD「and ROSEs『紅のプロローグ』」を5組のアーティストとともに発売した。