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宮城県
復興取材レポート

島が好きで、続ける人と語り合う。ATSUSHIさんと塩竈市浦戸諸島へ。

「島を盛り上げたい」と話す中学生の「友達」

マリンゲート塩釜から塩竈市営汽船で30分ほど。桂島や寒風沢島など4島からなる浦戸諸島のひとつ、野々島に降り立ちました。桟橋ではネコがお出迎え。真新しいチケット売り場と整備が始まったばかりの工事現場に、傷跡と過ぎた年月を感じます。

島に来たのは何回目ですか?と聞くと「うーん、数えきれない」とATSUSHIさん。震災の10日後から塩竈市を中心とした被災地を訪れています。

「パンを配りながら、話を聞いてたら、塩竈の人がみんな『島に守られた』っていうの。で、来てみたのが最初」。

一緒にお酒を飲んだりするうちに、謎めいた自然や歴史、人々の魅力に取りつかれたといいます。そんなときに出会ったのが、当時小学3年生の島津和人くんでした。

「向こうからオーラがある人が来るなぁって。話しかけられてびっくりしました」と和人くん。

ATSUSHIさんは「友達だもんな」と笑います。「こうやって、和人みたいな友達が増えていくと、友達のために何かしたいと思うようになった。支援とか、そういう気持ちじゃなくて、友達が困ってるから何かする、ここにいるから来る、みたいな」。

和人くんも深くうなずきます。「支援してもらってる感じはしないかな。いつも、また来てほしいと思う」。 島には高校がないため、進学は島の外。「でも、いつか島に戻りたい。祭りとかイベントとか、楽しいことをやって島を盛り上げていきたい。ここにはおもしろい人がいっぱいいるので」。

塩竈市立浦戸小中学校 当日は「志教育」の講師として浦戸小中学校を訪れました。

 

子どもたちの質問に笑顔で答えていました。

ブレずに、楽しく、必死に今、自分にできることを

「ほんとうにこの街ほど個性的な人が多い街ってなかなかないよ」。そう話すATSUSHIさんと次に向かったのは、寒風沢島で50アールほどの農園を経営し始めた、若手農家の加藤信助さんの畑。

寒風沢農園 震災があって「食」の重要性を再認識したという加藤さん。手探りの日々は続きます。

「一度来てみたら、島時間から抜けられなくなっちゃって」とはにかむ加藤さん。

口下手で、と言いますが、農業の話になると止まりません。「農業って、ものづくりみたいな感覚があって。人間が何かするっていうよりは、土の力を引き出して生み出すというか…」。

「なんかうれしい。自分と同年代の人が農業とかについて熱く語ってくれるのって。農業とかものづくりを、本気でかっこいいと思ってくれる年代になったらいいよね」。

今夏は雨が多く苦労も多かったと言いますが、ネギは間もなく収穫を迎えます。

「6年半塩竈に通って、いろんな人に会ったけど、みんなに共通しているのは、目の前のことをブレずに続けているということだと思う。今日会った和人も加藤さんも同じ。楽しんで、必死に続けていると、それが島の未来につながるんじゃないかな。自分も、それを一番大事にしている。10年たって、おっ!ここまできたんだな、って見えるものがあったらいいと思うな」。 執筆 沼田佐和子

 

ATSUSHI(あつし)


Dragon Ashダンサー。17歳からダンスを始め、ジャンルにとらわれない踊りでファンを魅了する。震災後は、写真家の平間至とともに塩竈市で毎年9月に開催される野外音楽フェス「GAMA ROCK」を主催。2017年で6回目を迎えた。