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宮城県
復興取材レポート

“つながる場所”として、このカフェを大事にしたい。工房地球村 小泉 大輔さん。

イチゴやリンゴ、そしてほっき貝の産地として知られる自然豊かな山元町。ここに、障害を持つスタッフが元気いっぱいに働く「カフェ地球村」があります。

丁寧に淹れた自慢のコーヒーを楽しみに通う地元住民の方、そして毎年大人気のアップルパイを買い求めるために県外からやってくるお客さん。

いろんな人の笑顔があふれるコミュニティカフェが誕生したのは、東日本大震災がきっかけでした。

カフェを運営する社会福祉法人 山元町社会福祉協議会「山元町共同作業場」の施設長・小泉大輔さんは言います。「ここは、震災後多くの皆さんの支援でできた場所。施設の利用者と地域の皆さん、そして全国の皆さんをつなぐ場所として、ずっとずっと大事にしていきます」と。

心の復興の過疎地になってはいけない

社会福祉法人 山元町社会福祉協議会が運営する「工房地球村」。ここは、精神障害などによって就労が難しい人たちのサポート等を行っています。

「震災による津波で、沿岸の清掃や、町の名産品であるイチゴを使ったジャムつくりなど、施設利用者さんが行っていた仕事がなくなってしまったんです。仕事がなくなってしまったことで、利用者のみなさんの心の拠り所がなくなってしまったんですよね」と、小泉さんは話します。

山元町は、町の37%が浸水、600名を超える命が失われたにもかかわらず、震災後、地元住民が「見捨てられた町」と嘆いたほどに情報や支援が遅れました。

町では、障害のあるなしにかかわらず、誰もが困難の中にいたのです。そんな中、佐賀県の精神科医である弟子丸(でしまる)和博医師をはじめとする精神医療チームが、山元町で施設利用者とその家族へのカウンセリングを開始。

小泉さんは「弟子丸先生は、”山元町が心の復興の過疎地になってはいけない”と、とても熱心に活動してくださいました。そして、先生のお仲間のみなさんも先生に寄付金を託してくださったんです」。

その寄付金をもとにトレーラーハウスを購入し、「山元町のみなさんの心の拠り所を」として作られたのが、「カフェ地球村」。

しかし、施設利用者はもちろん、スタッフですらカフェの運営はまったくの未経験。

「そこで、震災で廃業した亘理町の旅館の女将さんに接客の指導をいただきました。そして、”コーヒー界のレジェンド”といわれる田口護さんがオーナーを務める東京の『カフェバッハ』で研修を受けました。技術はまだ遠く及びませんが、”おいしいコーヒーを出したい”という気持ちはしっかり芽生えたようです」。

カフェで提供するメニューや制服も施設利用者とスタッフが考え、ついに2012年11月15日、「カフェ地球村」が誕生。

 

今では、地域住民のみなさん、さらには県内外からも「おいしいコーヒーを飲みに来たよ」と、お客さんがやってきます。施設利用者も、店員として働くようになってから、身だしなみに気を遣うようになったり、恥ずかしくて人と話すことができなかったのが「ご注文は?」とオーダーを取りに行くことができるようになったり…。地域の方たちとの掛け合いの中で、いい変化が起こっているそうです。

小泉さんは「ここの唯一の弱点は、立地の悪さ。今後はワークショップなどで地域の方に気軽にご利用いただき、もっともっと多くの方とつながっていけるような場づくりをしたいと思っています」と、目を輝かせます。健常者も障害のある方も共に笑顔になれる場所。それが「カフェ地球村」なのです。

 

工房地球村 小泉 大輔

山元町生まれ。大学卒業後、社会福祉法人 山元町社会福祉協議会勤務。現在、山元町共同作業所施設長。障害者の方が、その人らしく生きることができるよう、作業支援を行っている。