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復興取材レポート

【NOWIS.復興インタビュー】亘理町インターネットラジオ「FMあおぞら」

亘理町のとある一軒家の扉を開けると、明るい笑い声が聴こえてきました。
亘理町の情報を伝えるインターネットラジオ「FMあおぞら」の収録現場です。
今回は株式会社FMわたりのラジオパーソナリティで、
代表取締役の吉田圭さんと、取締役専務の西垣裕子さんのお話をお伺いしました。

みんなで作るラジオ
取材日の平成29年12月21日は、亘理町農産加工推進協議会の日下純子さんをゲストに迎え、酪農やブルーベリー生産加工のお話など、途中からスタジオに入った私が聞いても大変興味深い内容でした。

日下さんのお話をスタジオ内で聞いていたGG7(町民ボランティアで、FMあおぞらのサポーター)のメンバーの3人も放送の途中から会話に加わります。農産加工品の話以外にも、「昨今の年末年始」についておしゃべり。
「年末年始って、面倒じゃない?」「あら、どうして?」など、話題がどんどん広がり、楽しい話が飛び交います。

最後は吉田さんと西垣さんのお知らせコーナーで締めて、放送が終了しました。

「自分を輝かせて生きている人や亘理のすてきなお店、人、できごと、イベントなど紹介しています。亘理の情報が自然と集まってくる、町の広場のような放送を目指しているんです」と吉田さん。
「聴いている人が、おらほの町は面白い!と思ってもらえるといいなと思いながら発信しています。」

明るく笑顔の絶えない収録現場。ここにたどり着くまで、こんなエピソードがありました。

 

必要なことを知らせないと
被災直後、役場は混乱して手一杯。
情報発信まで手が回らない状態でした。

そんな状況下、吉田さんと西垣さんは「何かやらなくては」という使命感にかられていたそうです。
「どうしたらいいかとにかく不安になって、ドロかきのような力仕事はできないけれど、私たちにできることがあるならやろうと思ったんです」。

そこで2人は、亘理町役場に「ボランティアで町民に向けた放送をやります」と申し出ました。
こうして平成23年3月24日16時より臨時災害放送「FMあおぞら」が始まりました。

けれども2人とも、ラジオ放送に携わった経験はなく、何もかも手探りの状態でした。

機材は、新潟県長岡市のコミュニティ放送局「FMながおか」で使われなくなった機材を借りていましたが、最初は「こんな機材でラジオが放送できるの?」と思ったほどです。

臨時災害放送では、亡くなった方の数、どこで支援物資が貰えるか、給水車の場所などの情報を放送しました。

最初は生活に関わる必要な情報を優先して流していましたが、復興が進むにつれ、仮設住宅で暮らす方のお話や、イベント情報も放送するようになりました。

5年にわたり、震災関連の情報を放送し続けましたが、町の復興に目処がついたことから、平成28年3月に「FMあおぞら」は閉局しました。

 

インターネットラジオ・「FMあおぞら」の始まり

閉局後、2人は「震災でばらばらになったコミュニティをつなげたい」と思うようになりました。
さらに取材の経験を通して、自分の町をもっと好きになって欲しいという思いが芽生えていたといいます。

2人はまず、「本当にこの町にラジオが必要なのか」と直接、町民に聞いてまわりました。
話を伺うと、「なくなってさみしい」「まずは町の情報発信から始めてみては?」との声をたくさんいただきました。

「ラジオが終わってしまい、残念だという声を聞いて、ラジオは町を元気にするメディアなのだと実感しました」と吉田さん。
ひとまず資金もあまりかからず、気軽に始められるインターネットでラジオをやってみようということになり、
手持ちのミキサーとパソコンを使い、インターネット放送を開始しました。

「ラジオが始まったのは、災害がきっかけだったけど、これからの亘理を元気にしていくもとになったのでは?と思っています。
震災前から亘理に住んでいるけど、取材しないと出会えなかった人ってたくさんいるんです。いままで小さかったコミュニティがラジオを通して大きいものになりました」と2人は話してくれました。

 

いざという時に役立てたら
現在、FMの電波で放送する、コミュニティ放送局を準備しているというお2人。
開局のご予定を伺うと、

「平成30年の夏!…の、予定です」と笑って答えてくれました。

「FMだったら、もっとたくさんの人が聴いてくれるはず。普段は町の情報を発信して、いざという時も力になれたら」と西垣さん。

人々に寄り添うラジオ番組づくりを行っている吉田さんと西垣さん。
今日も亘理の小さなスタジオから、町のおなじみの声が聞こえてきます。

(左) 西垣裕子                      (右)吉田圭                     被災後、亘理町の臨時災害放送をボランティアとしてスタート。閉局後も「FMあおぞら」としてインターネットラジオで配信を続ける。

 

執筆 ライター昆野 沙耶