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宮城県
復興取材レポート

【NOW IS復興インタビュー】有限会社マルタ水産 相澤信幸さん

平成29年9月24日、名取市閖上(ゆりあげ)で第1回目の「しらす祭」が開催されます。
今年から宮城県で解禁されたしらす漁をきっかけとしたお祭りで、
しらす丼をはじめとした、新鮮な海鮮グルメが振る舞われます。

今回は、しらす祭を主催する閖上水産加工団地のうちの一社、有限会社マルタ水産の代表取締役である相澤信幸さんにお話を伺いました。

閖上の海とともに

震災前から、閖上でアカガイや、真ガレイなどを加工してきたマルタ水産。
約50年前に創業し、閖上で小魚や貝類の加工を続けてきました。

「閖上のアカガイは日本一!」
相澤さんは笑顔でそう言います。

震災が起こった年の3年前に、マルタ水産のアカガイの塩漬けは宮城県主催の品評会で農林水産大臣賞を獲得し、全国に名を馳せています。

シラスを学ぶ
震災では、工場が被災し、生産設備や在庫すべてが流されてしまいました。
相澤さんは、たくさんのものを津波で失ってしまったという悲しい気持ちでいっぱいでしたが、とにかく仕事をして、前を向くしかないと決意しました。

震災直後の春、静岡県のしらす加工メーカーから「しらすの加工技術についての研修に参加しませんか?」と呼びかけがありました。

当時の宮城県ではしらす漁は行われていませんでしたが、
将来的にしらす加工は視野に入れていたため、勉強になるだろうと考え、参加を申し出ました。
静岡の工場を手伝いながら、半年ほどしらすについて学びました。

一方、地元の閖上の漁師たちは、震災で崩れた消波ブロックや貝毒などの影響により、名産のアカガイが獲れず、困っていました。
しらす漁の北限は福島県沖とされていましたが、新たな収入の柱として宮城県にしらす漁の許可を要望しました。

そして平成28年7月、21隻の船が漁を許可され、カタクチイワシのしらす漁の試験操業を開始しました。

魚がいないまま…しらす祭
しらす漁の試験操業が始まり、水産加工団地の6社の企業は「しらす祭ができるぞ」と興奮。
許可が下りた段階で、すでに祭をやる話は決まっていました。

しらすが有名な静岡県で行われている用宗漁港まつりというしらすを振る舞うお祭りでの来場者数はなんと50,000人。
静岡県のようにしらすのお祭りを盛り上げられたら、というビジョンを思い描いていたのです。

目の前に魚がまだ無い状態で開催が決まったしらす祭ですが、6社は気合十分です。

「閖上はアカガイが有名。
それに加えて、第2のブランドとしてしらすを売り出していきたい。
たくさんの人にしらすを食べにきてもらいたいという気持ちです。
現在いろいろな飲食店で扱ってもらっていますが、もっといろんなところにアピールしていけたら」と相澤さん。

「今後、しらす祭を月に1回のペースでやっていけたら、いいね。
しらすを扱うのはみんな初めてだから、当然不安。
だからこそ協力が必要で、漁の解禁をきっかけに協力しあうという新しい動きが見えてきました。仙南のこういった動きを皮切りに、いずれ県全体にいい影響が出ればいいですね。」

被災しても力強く、水産加工業を続けてきた相澤さんですが、その原動力は?と伺うと、
「やはり家族の力が大きいです。もちろん、続けて欲しいという地元の応援もありましたが、いずれ一緒に加工業をやっていく息子のことを思うと、頑張れたんです。
以前、息子は東京の水産関係の企業に勤めていて、ものを売るためのノウハウを閖上に持ち帰ってくれました。
そんな息子とうまくやっていけたらと思います」と相澤さんは、力強く答えてくれました。

第1回しらす祭は9月24日(日)9:00~13:00開催。
※宮城県名取市閖上(閖上水産加工団地 敷地内)

(名取市観光物産協会HP)
http://www.kankou.natori.miyagi.jp/news/7064

みなさんも閖上の復興の風を感じてみてはいかがでしょうか。


相澤信幸
マルタ水産代表取締役。
名産のアカガイの塩漬けが「日本ギフト大賞2016宮城賞受賞」「第36回農林水産大臣受賞」受賞。

 

執筆 ライター昆野沙耶