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復興取材レポート

【宮城発!元気と食の最新情報】地図の地名として残る“荒浜”ではなく、人々の思い出に残り続ける“荒浜”を目指して ~荒浜のめぐみキッチン~(前編)

「今の荒浜には何もないように見えるけど、視点を変えれば活用できるものはたくさんあるんだよね」。

仙台市荒浜の農家、渡邉智之さんと、建築家/デザイナーの小山田陽さんの会話から生まれたプロジェクト「荒浜のめぐみキッチン」。

「荒浜のめぐみキッチン」では、2017年1月から、津波で被災した仙台市東部地区にある地域資源を活用し、農業と食をテーマにした体験や交流ができる場づくりを行っています。

渡邉さんの勤務先でもある荒浜の「株式会社荒浜アグリパートナーズ」では、自然と向き合う体験イベントや製作活動を。
小山田さんがオフィスを構えるビル内の「綴カフェ/ファィブブリッジ」では、食のイベントやワークショップを開催し、両拠点は荒浜ベース、五橋ベースと呼ばれ、互いの拠点を参加者が往来しながら活動が続けられています。

このプロジェクトで共同代表を務める小山田さんは山形県出身。
実家はさくらんぼ農家で、震災前は都内のデザイン系アトリエ設計事務所に勤務していました。

震災後は仙台市へと移住し、学校の校舎や体育館など公共建築の被災状況の調査業務と、復旧設計業務や工事監理業務などを担当。

独立後は、仙台市地下鉄東西線荒井駅に隣接する「せんだい3.11メモリアル交流館」や、山元町震災メモリアル展示「東日本大震災と日々の防災」で、せんだいSSD*デザインチームの設計担当者としても携わりました。

写真左/小山田陽さん             写真右/渡邉智之さん

「最初に渡邉さんとイベントで出会った時に『荒浜』というキーワードでつながり、
その後、渡邉さんが荒浜の野菜を移動販売している『産直ぽんぽこ』に通っているうちに、会話の中で“今の荒浜には何もないように見えるけど、稲藁や土や石や漂着物とか、視点を変えれば使えるものはたくさんあるんだよね”という話になって。

さらにミーティングを重ねると今度は“現代に迷い込んだ縄文人の暮らし”というキーワードも飛び出し(笑)。それで何はともあれ食べるためには“火”だねとなって、荒浜ベースで移動式のかまどを作りました。」

「かまどの制作ができたら、今度は陽ざしをよける場所づくりだ!という事になり、三本塚地区に竹が沢山ある事を教えてもらってわけてもらい、今竹で日除けドームをつくりました。

その後は、かまどを使って、アグリパートナーズのお米を土鍋で炊いたり、荒浜で育てられた野菜の収穫体験やバーベキューを開催してみたり。

夏を迎える頃には荒浜ベースでの体験イベントを通じて、参加している大人も子供も自然に荒浜という地区との距離が縮まっていく環境が出来上がってきました。

そして荒浜は何もない場所ではなく、地域資源も豊富で新たな何かを生み出せる可能性がある場所である事も認識できたのだと思います。」

地域を丸ごと味わえる体験を提供する「荒浜のめぐみキッチン」を、体験型レジャー農園として設立するために、2人は、仙台市の中心部である五橋ベースでもイベントを開催していきます。(後編に続く。)

*SSD:せんだいスクール・オブ・デザイン
地域の活性化を図りうるコラボレーティブなクリエイターを養成するべく、東北大学と仙台市が連携し、従来の大学教育の枠を超え、社会人クリエイターと建築デザイン系大学院生が、ともに地域の課題に基づいた実践的なプロジェクトを行なう教育プログラム。

荒浜のめぐみキッチン
http://www.sendai-c3.jp/projects/megumi-kitchen/
荒浜のめぐみキッチンFBグループ
https://www.facebook.com/groups/1724348101189935/

執筆者PROFILE
一般社団法人IKI ZEN 佐藤大樹