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復興取材レポート

【宮城発!元気と食の最新情報】世界に向けて販路を拡大する雄勝の宝『玄昌石』

室町時代から生産され、昭和60年に我が国が誇る伝統的工芸品として指定を受けた雄勝硯。
石巻市雄勝地区では、職人の高い技術と共に、東日本大震災を乗り越え、この長い歴史と伝統を継承してきました。

雄勝硯は、昭和の中頃には書道の授業で使用される硯として需要のピークを迎えていましたが、近年は少子化の影響もあり需要が減少しています。

「たしかに硯の需要としては落ちていますが、雄勝石は石皿や酒器などテーブルウェアとしての需要が高まっています。2012年に復元されたJR東京駅舎の屋根のスレート材として仕様されるなど、雄勝石の可能性は無限大です」と教えてくれたのは、雄勝硯生産販売協同組合で製造管理部長を務めている高橋頼雄さん。

頼雄さんは、組合で工芸品製造などを担当しています。
石皿をはじめとする工芸品の生産に向けた取り組みは、雄勝硯生産販売協同組合と事業者が10年ほど前から開発をはじめ、震災後に本格化したそうです。

「雄勝硯の素材でもある『玄昌石(げんしょうせき)』は、吸水率が低いため、変質しにくい特性を持っています。

また圧縮や曲げにも強く、保温性と保冷性にも優れるため、料理のおいしさを長く保つことができます。和食の食器としてはもちろん、フレンチやイタリアンの店舗からのオーダーも多いです。」

雄勝硯生産販売協同組合では、国内のみならず、世界に向けての販路も開拓しています。

イタリア・ミラノ国際博覧会では雄勝石を使った石皿を出展し、高い評価を受けました。
仙台市で行われた「G7先進7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議」では酒器が使用され、海外のVIPに向けて、雄勝石の黒い光沢と高級感のある「割れ肌」の魅力を存分にPRしました。

海外での販路拡大に向けて、英語版の商談ツールや英語版のWEBサイトが作成されています。

「イタリアの飲食店から、直接オーダーが入った事もありました。石皿やノベルティはオーダーメイドでの受注もあるので、若手職人の技術が磨かれていきます。

雄勝石は薄くすると割れやすいので、職人には石の硬さや目の向きを正しく読む技術が必要です。角皿や丸皿、コースターなど、様々な形状に加工するので、石の扱い方や削り方など、硯作りにも生きる技術を習得できる部分も多いですね。

テーブルウェアのシェアを関東で伸ばし、その後に関西、世界にシェアを広げていきたいです。」

現状として、雄勝地区の復興は、道路状況の改善や復興公営住宅の整備は進みましたが、
まだまだ様々な課題の解決に時間もかかっています。

「雄勝石の採掘現場では、震災の影響で崩れている個所があるのですが、私道であるが故に公の復旧工事が行われず、そのままというのが現状です。

震災から7年の月日が経過しましたが、細かい部分に支援が行き届いていない現状が雄勝だけじゃなく、被災した沿岸部各地で大小あると感じています。

それでも、もう一回状況を立て直そうと、まだまだみんなが一生懸命に頑張っているので、雄勝に普通に遊びに来ていただいて、硯の歴史に触れながら、海産物も楽しんでもらえたら嬉しいですね!」

 

雄勝硯生産販売協同組合
http://ogatsu-suzuri.jp/
英語版サイト
http://ogatsu-stone.strikingly.com/

 

 

執筆者PROFILE
一般社団法人IKI ZEN 佐藤大樹